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千葉地裁=2022年10月19日、千葉市中央区

 2018年のサッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会。イングランドがクロアチアに敗れ、52年ぶりの決勝進出を逃した準決勝の直前、その事件は起きた。

  • 容疑者の多くからDNA採取 DBに130万件と判明

 7月12日午前0時過ぎ。千葉県市川市の路上で、歩いて帰宅していた女性(当時20)が駐車場の敷地に連れ込まれ、転倒させられた。

 「刃物持っているよ」

 そう脅され、首を絞められた上で口腔(こうくう)性交をされ、2週間のけがを負った。帰宅後、父親に110番通報してもらい、警察に被害を申告した。科学捜査研究所は、口内から採った試料のDNA型鑑定を行った。だが、女性以外のDNA型が誰のものか分からなかった。

 約1年半がたった20年2月。別の住居侵入事件で捜査対象となった男のDNA型鑑定をしたところ、女性の試料から検出されたDNA型にあてはまる可能性があることが分かった。

 男は21年12月、強制性交致傷罪で起訴された。弁護側は犯人性を争わない方針を固め、千葉地裁で23年1月、裁判員裁判が始まるはずだった。だが、初公判の直前、公判期日が取り消された。支援者から依頼され、男と接見した弁護士が期日の取り消しを求め、認められたという。

新たな弁護人「第2の足利事件だ」と無罪主張

 その弁護士は、有罪立証の柱…

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